カカオ豆からチョコレートができるまで

世界中の子供から大人まで、誰もが大好きなチョコレート。今ではとっても
身近なお菓子ですが、カカオ豆から美味しいチョコレートを作るまでには、
多くの複雑な工程が必要です。

この記事では、カカオ豆からチョコレートができるまでの製造過程について
詳しく見ていきましょう!


美味しいチョコ作りはカカオ豆の選定から!


チョコレートの原料は、南アメリカやアフリカなどの熱帯地域で栽培されて
いるカカオ豆ですが、それぞれ産地ごとに味や風味に特性があります。

そう、美味しいチョコレート作りは「カカオ豆の選定」から、すでに始まっ
ているのです!

【関連記事】チョコレートの歴史【カカオの起源&日本への伝来】


チョコレートの原料になるカカオ豆(種子)ってどんなもの?

チョコレートの原料は「カカオ豆」というのは有名ですよね!でも、カカオ
豆を実際に見たことがある、という人は少ないでしょう。

カカオ豆とは、カカオの木に実る果実「カカオポッド」の中にある種子のこ
とです。

カカオポッドは直径10〜20cm程度の楕円形の果実で、全体が硬い殻に覆わ
れています。カカオポッドの色は、成熟すると緑から黄色、赤色に色が変わ
っていきます。そして、成熟したカカオポッドを割ると、30粒〜40粒程度
のカカオの種子が採取できるのです。つまり、このカカオの種子が、
カカオ豆と呼ばれるチョコレートの原料になります。

代表的な3つの品種と味の違い

カカオはアオギリ科テオブロマ属、木の高さは4.5〜10mほどの常緑樹です。
品種はクリオロ種・フォラステロ種・トリニタリオ種の3種に分けられて
います。

それぞれ産地や見た目、育てやすさに違いがあるだけでなく、香りや味にも
違いがあります。

クリオロ種は苦味や渋みが少なく、甘味が強い傾向があります。フォラステ
ロ種は苦味が強めですが、バランスが良く、ミルクチョコレートの原料とし
ても良く用いられる品種です。クリオロ種とフォラステロ種の交配種である
トリニタリオ種は、クリオロ種に似た香りの良さとフォラステロ種のビター
な風味が特徴です。


原産国別の風味の違い

カカオの木は、年間平均気温が約27℃、海抜30〜300mの場所で年間を通
して気温差が小さく、年間降雨量は最低1000㎜以上の限られた条件下でし
か育てることができません。そのため、赤道周辺の高温多湿の熱帯地域で
のみ育てることができるのです。

日本で流通量が多いのは、西アフリカにあるガーナで生産されたカカオ豆で
す。品種はフォラステロ種が主流なので、酸味や苦味などのバランスが良
く、香ばしい味わいが楽しめます。

ガーナと同じ西アフリカにあるコートジボワールもカカオの産地として知ら
れています。フォラステロ種が栽培されているので、コクがあるのにマイル
ドな味わいが魅力です。主にヨーロッパ諸国で多く流通しています。

他には、エクアドルやベネズエラなど中南米諸国も、カカオの名産地として
知られています。クリオロ種の原産地でもあるエクアドルでのカカオ豆は、
華やかで豊かな香りが特徴です。ベネズエラではトリニタリオ種も栽培され
ており、雑味が少なくナッツのような風味が特徴のカカオ豆がたくさん作ら
れています。

カカオ豆が私たちの手元に届くまで

カカオ豆は、カカオポッドの中に入っているので、まずはカカオポッドを収
穫し果肉を取り出します。果肉を実(パルプ)と種子(カカオ豆)に分けて
から箱に入れ、パルプの糖分を利用してカカオ豆を発酵させます。約1週間
発酵させた後、余分な水分を飛ばす乾燥の工程を経て、梱包・輸出され私た
ちの手元に届きます。

このように、カカオ豆の収穫から出荷までには多数の工程があり、多くの労
働力を必要とします。ただし、カカオ農園のほとんどが小規模農園であり、
十分な労働者を雇うほどの財力がありません。そこで、農園の子どもたちは
学校にも行くこともできず、朝から農園で重労働をしているのです。

カカオ豆の栽培・収穫における児童労働や劣悪な労働環境は、近年世界的に
問題視されています。

不二製油のカカオ選定

美味しいチョコレートを作るためには、理想の味を引き出せるカカオ豆を選
定しなくてはいけません。不二製油でも、製品毎に相応しい風味のカカオ豆
を選定し、使用しています。

また、先述したカカオ豆の栽培・収穫における児童労働問題など、不二製油
はチョコレート製造会社として、社会問題解決に向けた活動を積極的に進め
ています。

まず、2018年に「カカオ豆の調達方針」を設定し、2020年にはサステナブ
ル調達の中長期目標を設定致しました。チョコレート事業でのグローバル企
業として、カカオ産業が持続的に発展できるよう、労働環境の改善や児童労
働の撲滅などに取り組み、良質なカカオ豆のサステナブル調達に挑戦し続け
ていきます。

弊社が取り組む活動内容について詳しく知りたい方は以下ページをご覧くだ
さい。
https://www.fujioilholdings.com/sustainability/cocoa/

カカオニブからカカオマスへ

美味しいカカオ豆が工場に届いたら、焙煎しチョコレート独特の香りと風味
を引きだします。次にカカオ豆を細かく粉砕し、 ウィノアという分離装置を
利用して、外皮(ハスク)と胚芽(ジャーム)を除き、チョコレートの原料
となるカカオニブを取り出します。

そして、取り出されたカカオニブをさらに細かく粉砕・すりつぶし、ペース
ト状にします。このペースト状になったものをカカオマスといいます。

カカオ100%のカカオニブ・カカオマスには、カカオポリフェノールや炭水
化物、タンパク質などが豊富に含まれています。こう見えて、カカオ豆は栄
養満点のヘルシーフードなんですよ!

【関連記事】チョコレートはヘルシー?ポリフェノールの効果とは


ここからの工程でチョコレートの〇〇が決まる!?


カカオはそのまま食べると苦味や渋味が強く、チョコレートのような甘さや
コク、なめらかさはありません。チョコレート特有の甘さや口どけは、ここ
からの作業にかかっているのです!


砂糖やミルクなどチョコレートの原料を混合

まずは、ペースト状のカカオマスに砂糖やミルクなどの原料を混ぜていきま
す。配合する砂糖やミルクの量が少なければ、カカオの濃度が高いビターな
チョコレートになり、ミルクの濃度が高ければ、ミルキーでまろやかなチョ
コレートになります。

つまり、配合量を調整することで、ダークチョコレートやミルクチョコレー
トなどチョコレートの種類が決まるのです!


チョコレートの舌触りを左右する微粒化・精錬

材料を配合したら、チョコレート生地の粒子を微細化する作業に進みます。
ここでは粒子を20ミクロン(髪の毛が17~150ミクロン程度と言われてい
ます)以下まで細かくします。そして時間をかけて強い力をかけながらじっ
くり練り上げる精錬(コンチング)を行います。精錬を行うことで、徐々に
チョコレート生地に流動性が生まれ、なめらかになっていきます。また、水
分や酸味も蒸発が促進され、チョコレートらしい舌触りの良さや香りが引き
立ちます。

コンチングの重要性を発見したのは、スイスのチョコレート会社創業者の
ルドルフ・リンツ(Rudolf Lindt)です。チョコレートを練り上げていた
ミキサーの電源をおとさずに帰宅してしまったことで発見されたと言われています。

適温で時間をかけて原料を混ぜ合わせることが滑らかさと光沢感の秘訣なん
ですね!

実は一番緊張する!?テンパリングとは?

ここまで液状だったチョコレートの原料を、固めるための最終調整がテンパ
リング(調温)です。チョコレートの温度をコントロールし、ココアバター
の結晶を整えます。

ココアバターの結晶を安定させることで、きちんと固まり、艶のある口溶け
がいいチョコレートになります。手作りチョコレートでも一番難しい作業で
すよね!

テンパリング後は、型にチョコレートを流し込み(充填)、冷却して固めま
す。せっかくなめらかにしたチョコレートに気泡が入らないよう、充填時に
は型を振動させて空気の泡を抜き、気泡が入らないようにしています。冷却
後は型から抜きとり、アルミ箔やラベルで包装します。

こうして私たちの手元に届くチョコレートが出来上がるのです!

奥深いチョコレートの世界

美味しいチョコレートは、こんな複雑な工程を経て作られているのですね!

半世紀以上チョコレートを作っている不二製油では、カカオ豆の選定から
配合、コンチングまで、さらなる美味しさを追求し、日々チョコレートの
研究・開発をしています。植物性の素材を上手く使うことで幅広い品質設
計が可能となり、街のあちこちで使われています。あなたも必ず口にした
ことがあるはず!

世界で愛される不二製油の香り豊かでまろやかな口溶けを楽しめるチョコレ
ートを、是非この機会にご堪能ください!